日めくりインドア女子

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「エルカミーノ ブレイキング・バッド THE MOVIE」感想~最高の後日譚

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「ブレイキング・バッド」の続編映画である

「エルカミーノ」

先日Netflixにて公開されました

www.netflix.com

見た感想を書いていきます

言わずもがな、「ブレイキング・バッド」本編および続編「エルカミーノ」を完全に見終わった人向けになりますのでご注意ください。ネタバレを含みます!!!

なお、文中で

「本編」は「ブレイキング・バッド」

「続編」は「エルカミーノ」を示しています

続編に対する個人的な思い

ブレイキング・バッドが最終回を迎えたのは2013年9月29日

わたしは1年前にNetflixで一気に見ました。最高でした

これまで見たなかでも不動のベストワンに輝くほど大好きなドラマになりました

そのブレイキング・バッドが有終の美を飾ってから実に6年後、

なんと後日譚が映画化されるということで

楽しみ半分、心配も半分ありました

www.indoor-joshi.com

大好きな作品だからこそ、

続編で起こってほしくないような展開になったらどうしよう、とか

人物の一貫性が失われていてがっかりしたらどうしよう、とか

そういう心配があったからです

でも、いざ配信を見てみたら最高でした

わたしの陳腐な心配なんて一瞬で吹っ飛ぶほど

最高の後日譚でした

脚本、監督、役者、スタッフすべて

作品をつくったひとたち、送り出したひとたちすべてに

心からの感謝と拍手を送ります

願いを包括しながらも予想を超えた

「ブレイキング・バッド」を見終えた人なら

一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

あのあと、ジェシーがどうなったか?

生きのびたジェシーの今後の人生を。

本編のとき、ジェシーは一度アラスカ行きをとりやめていましたよね

それが続編「エルカミーノ」の展開にもつながってくるのですが、

続編を見るまでわたしが妄想していたジェシーの「その後」は、こうです

本編で命からがらエルカミーノ(車)で監禁工場から脱出したジェシーは

人生をやりなおすためにやっぱりアラスカに行くことにして

その後の人生を生きなおしました

これは妄想でありますが、願いでもあります

あ、わたしはジェシーのことを愛おしく思っております

だって憎めないじゃないですか。流されやすくて。お調子者で。意志が弱くて。でも真っ青な瞳と真っ白な歯がとっても綺麗なんですよ。

というわけで、ジェシー推しの人間が妄想しているということです

さて、実際に続編「エルカミーノ」を見てどうだったかというと、

まさに上記の「願い」そのものでした。

え…わたしの考えていたことがすべてつまってる…!と思ったファンの方、ぜひともだちになりましょう。一緒です本当。

そして「エルカミーノ」が素晴らしいのは、願いをすべてなぞっていながらもキャラクターの肉付けやエピソードの濃さ、映像の美しさ(お金めっちゃかかってそう)で最高のものに仕上がっているということ。

正直、Netflixの月額だけでこんな素晴らしい作品が見られて大丈夫なんでしょうか?と思うほどです

トッドとウォルター

ジェシーの回想として、トッドとのシーンが多く出てきました

ドラマのなかでは昔の出来事ですが、すべて新録です

そのせいか若干、トッド役の方の風貌が以前とは違っていましたが、演技力でカバーできていたので問題ありませんね

トッドは本編の終盤でジェシーを監禁していたサイコ野郎です

確か、ウォルターのことを崇拝していましたね。自分の叔父のこともかなり崇拝していたようです

「エルカミーノ」では監禁時代の出来事が描かれています

ある週末、なにかの「手伝い」のためにトッドの家に連れていかれるジェシー

暴力的で何を考えているのかわからないトッド

戸惑いながらも部屋を「パステル調で良い感じ」とお世辞を言うジェシー

こういうやり取りがたまらなく好きです 

ジェシーはアホで小悪党ですが、元は普通の家庭の長男なんですよね。前にウォルター宅でスカイラー達と食事をとることになったときにも、「わりと世間話ができてしまう普通っぽい若者」が板についていました。 

さて、トッドが何を手伝わせたかったかというと

死体の後始末でした

被害者はトッドの家政婦。とくに何かしでかしたわけではない。むしろ正直すぎるほどで、掃除中に見つけた「辞書に隠された大金」をトッドに報告したばっかりに、口封じにトッドに殺されてしまったようです。

「悪いひとではないけれど、自分にとって不都合になりかねない存在は容赦なく消す」

それがトッドのやりかたです。

以前もそうでした。目撃者である無関係の子供を、容赦なくトッドが撃ってしまいましたよね。

それを見てジェシーはトッドとは手を組めない、と結果ウォルターからも離れていったのでした。

さて、このトッドのやり方ですが、

ウォルターそっくりですよね。

ジェシーに後始末をさせるところも一緒です

支配の方法が暴力的か頭脳的かだけで、

トッドとウォルターのジェシーへの関わり方はさほど違いがないのではないか?

そして、支配者に対するジェシーの対応。

降伏、あきらめ。

トッドはブロック(ジェシーが付き合っていた女性の息子)を人質に取っていて、もしジェシーが反抗すれば子供に影響が及ぶということもありますが。

それでも見ているほうとしては、

サイコ極まりないトッドの言動を見ながら

ウォルターの人情味が恋しくなってしまうんですけどもね。ペパロニ。

ジェシー・ピンクマンという物語の終わり

監禁生活がジェシーにかなり影響を与えたことは確かです

本編では「ヨー、ビッチ」が口癖だったジェシーですが

「エルカミーノ」でその口癖はほとんど見られませんでした

そして、アラスカへ行くという目的にむかってひたすら迷わないジェシーがいました

「警官は殺したくない」としながらも、悪党が銃を向けてきたならば

容赦なく撃ちます。そして工場を燃やします

すべては自分の人生をつかみとるため

ウォルターとの時間

最後、アラスカへ向かう途中にみたものはウォルターと過ごした時間

トレイラーで二人でクッキングしていた時代ですね。

電話越しに恋人と話している風なので、ジャンキーガールがまだ生きていた頃。

ジェシーがウォルターに「電解質も大事だろ」と飲み物を進めていることから

トレイラーのバッテリーが上がった(シーズン2 エピソード9)後ですね

二人の服装も一致しています

ウォルターとジェシーの関係もそこまでこじれていなかった良い時代ですよね

ウォルターが言う

君は運がいい
特別なことをするのに一生待たずに済んだ

の重み。

思えばウォルターは

特別なことをするのに人生の終わりをめちゃめちゃにしてまで命をかけ、家族のことも巻き込んだんですよね

ウォルターがどれだけひどいことをしてきたか

トッドより、ガス・フリングよりも悪人かもしれません

だけど、それがどんなに悪いことだとしても、

特別なことを成し遂げたウォルターがかっこよく見えてしまうんですよね…それがこのドラマのすごいところ…

ジャンキー・ガール

アラスカに到着し

新しい名前を身分を手に入れたジェシー

車を運転しながら思うのは、ジャンキー・ガールことジェーンのこと

ジェーンが語った人生観について

ジェシーは「それもいいよね」と言います。でも、ジェーンは

今までずっと宇宙に任せてきた
自分で決めるほうがよっぽどいい

と答えるのです。

そして、自分で決めた人生に走り出したジェシーは最後に微笑みます

やっと…! やっとジェシーの笑顔が見られた…涙

本当に胸がいっぱいになりました

ジェシー・ピンクマンの物語はここで終わりです

終わってしまったさみしさと

新しい人生を歩みはじめたジェシーに幸せ…あれ…乾杯という気持ちがないまぜになって

見終わってからずっと泣いてしまいました

本当に最高の物語でした