日めくりインドア女子

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アニメ『さらざんまい』第五皿までの感想と考察「ぼくは春河が嫌いだ」発言で好きと嫌いを考える

アニメ『さらざんまい』

第五皿まで視聴しました。

sarazanmai.com

めくるめく愛と欲望のアニメーション。

幾原邦彦監督の作品はこれまで「少女革命ウテナ」「輪るピングドラム」「ユリ熊嵐」と視聴してきましたが、根底にあるものは基本同じ……なのかな?

欲望と秘密をさらけだすあたりはウテナ黒薔薇編も彷彿とさせますね

第五皿で明かされた一稀の家庭環境

第五皿では、一稀の境遇が明かされました。

一稀が五歳のときに矢逆家に春河が生まれ、一稀は「お兄ちゃん」になりました。

しかし十歳のとき、じいちゃんが死に際に一稀のほうを指さし、

「お前の母親はだらしない女だった」

と言い放ちます。

それだけ聞くと一稀は矢逆家母の不倫の子供? 春河とは異父兄弟なのかな? と思ってしまいますが、どうもそうではないようで、

はっきりしたことが二つ。

・ぼくには本当の母親がいる

・ぼくは本当の母親から引き取られた子供だった

と一稀のモノローグで語られています。

一稀の本当の母親と、矢逆家両親との関係がよくわからないのですが、一稀と矢逆家(両親と春河)にまったく血縁関係はないということ…なんですかね?

第五皿の内容をもとに家系図を書き出してみましたが…

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こういうこと?

どういう経緯で一稀が矢逆家に引き取られたのか、一稀の血縁上の父親が誰なのかはわかりません。

その後、一稀は生みの母と会ってしまいます。生みの母の香りをかぎ、会話をするうちに間違いなくこの人は自分の母親だと確信する一稀。

しかし生みの母は「ほかに家庭があってそっちも大事なの」と一稀に言います。なんて正直で残酷なんでしょう。

それを聞いた一稀は、ぼくにも大事な家族がいると答えますが、宙ぶらりんで孤独な気持ちになったことでしょう。さらにそんな一稀に追い打ちをかけるように、悲劇が起こります。

春河の事故とサシェ

生みの母親を見送りに行く一稀にすがる春河。

春河は一稀の事情を知らないはずですが、「行かないで」と懇願します。

その手を振り切って信号を渡る一稀。追いかけた春河は事故に遭い、車いす生活を強いられるほどの大怪我をしてしまいます。

いやーーー、

一稀かわいそう。

もちろん春河もかわいそうですけども。一稀が背負うもの大きすぎでしょ…。

しかしなぜ春河があんなに一稀をとめたのか。

第五話で春河がなぜか持っていたサシェ(匂い袋)とあわせて謎が残りますよね。

サシェは一稀の生みの母がもっていたのと同じように見えますが、春河と接触したのでしょうか。

もしあのサシェが一稀の生みの母のものだとしても、それはそれで「一稀がなぜ香りに気が付かないのか」という謎が残りますよね。春河のおなかのあたりにしまってあったことから、いつも身に着けていたっぽいし。今後そのあたりが語られるのでしょうか。

一稀の「ぼくは春河が嫌いだ」発言について

春河をよろこばせるために飼い猫を盗んできて地域猫にしたり、

春河をよろこばせるために吾妻サラの女装でなりすましたり、

一稀が「春河のため」にしていることはどこかズレていて、第五皿のおわり、すべてが発覚したあとに

春河のためになんて嘘だった
ぼくは、ぼくを守るために春河を騙したんだ

と一稀が吐露します。

一稀がしてきたことで春河がよろこんでいたとき、一稀の胸は痛んでいたのでしょうか。嘘をつき続けることは大変なことです。すべてをさらけ出して生きたほうが楽に決まっています。だけど一稀がそれをしなかったのは、春河に怪我を負わせてしまった加害者という罪の意識から、でしょうか。

第四話のエンディング後に、一稀が悠と燕太に

ぼくは春河が嫌いだ

と告白しています。

嫌いの反対は、好き。『さらざんまい』において「好き」という感情は欲望とつながっているように描かれていますよね。

ゾンビの尻子玉をぬくと、ほとんどが「〇〇するのが好きだった」と隠された欲望が出てきます。

燕太の一稀に対する「好き」という感情も、欲望としてケッピに転送されていました。

好きが欲望の一種だとすると、嫌いもそうなのではないか。

無関心とはちがい、何らかの感情、欲望を向けることが好きや嫌いにつながっていくのでしょう。

一稀が春河に抱く感情として、好きという気持ちは向けられない。本当の家族ではないと思っているから。自分のせいで傷つけてしまったから。でも、無関心にはなれない。血のつながりはないけど、家族だから。本当は好きで大事にしたいけれど、それができないから「嫌い」にたどり着いた、という印象を受けました。

さらざんまい (上)

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これも読んでみようかなぁ。

 

次のお皿も楽しみディーッシュ☆