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デンマーク発の犯罪捜査ミステリー小説「特捜部Q 檻の中の女」ネタバレなし感想【妄想絵】

こんにちは、今日もインドアのあわわこです。

ずっと気になっていたデンマーク発の小説「特捜部Q」シリーズの1作目「特捜部Q―檻の中の女―」を読みました。

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ネタバレなしの、妄想絵とともに感想を書いていきます。

主人公はデキる刑事(PTSD持ち)

 

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主人公のカールは優れた刑事でしたが、二カ月前に事件現場で襲われ同僚を失いました。死亡1名、脊椎損傷による全身麻痺1名、とひどい状況の中、カールは同僚の下敷きになって自分だけ助かったことに後ろめたさを感じています。職場に復帰しても、かつてのチームは崩壊。上司たちもカールを持て余し、政府の予算目当てに設立した「特捜部Q」という部署にカールを配置しました。

特捜部Qとは過去の未解決事件に取り組むための部署。とはいえ形だけで、余った莫大な予算を上司たちは横取りしようと目論んでいたのです。それに気づいたカールも特にやる気は出さず、ただ定時で上がるのを地下のオフィスで待つという怠惰な勤務状態。しかし形だけでも成果を出さねばならず、謎のアシスタント・アサドにもせっつかれて手を付け始めた事件の捜査が、思いも寄らぬ方向へ展開しはじめるのでした。

 

謎のアシスタント・アサド

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ある日地下室の特捜部Qに現れた人物・アサド。シリア系でカールよりは年上、そもそも警察官ですらないという謎めいたアサドをカールは警戒しますが、どんな雑用でも丁寧で迅速にこなす仕事ぶりに信頼度をあげていきます。

刑事ではないアサドですが、絶対に外部に漏らさない、という約束のもとで事件の資料を読んだり捜査に同行したりします。女好きで車の運転が荒いという閉口してしまうところもありますが、とにかく頭が切れるアサド。二人は徐々によき「相棒」となって、事件解決に挑むのです。

 

点と点がつながっていく構成

今作でカールとアサドが挑むのは、女性議員ミレーゴが五年前に失踪したとされる事件。当時の捜査はミレーゴが船上から投身自殺をしたという仮説で打ち切られました。しかし死体は上がっておらず、証言や証拠を突き合わせても謎が多い点に目を付けたカール。捜査を続けるうちに当局のずさんさや、謎の人物も浮かび上がってきます。

小説は現在である2007年と、2002年のパートに構成が分かれており、2002年当時のミレーゴの視点で描かれていく事実にページをめくる手が止まりませんでした。

 

魅力的な登場人物たち

主人公とその相棒には上で触れましたが、他にも人間味あふれるキャラクターがたくさん登場して小説全体がイキイキとしていました。

心理学者 モーナ・イプスン

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たとえばこちらの心理学者・モーナは登場シーンは少ないですが強烈な印象でした。モーナの美貌ぶりにカールはポーッとなって(アサドほどではないにしろ女好きの気があるカール)PTSDを理由にモーナと会う約束を取り付けるのです。

時折胸を圧迫して呼吸困難におちいるほどのPTSDですが、1作目ではモーナとの面談でそれはまだ解決していませんでした。これからも登場する人物かと思います。

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他にも、カールのかつての同僚で全身に怪我を負ったハーディは、病院で寝たきりとなったままカールに頼み事をします。「頼む、俺を殺してくれないか」と。それに応えることはできないカールでしたが、なんとか活気を取り戻してほしいとミレーゴ事件の捜査資料を見せたり、カール達が襲われたのと同一犯と思われる事件について伝えたりするのでした。この二人の関係も今後どのように変化していくのか楽しみです。

 

「特捜部Q」シリーズについて

ユッシ・エーズラ・オールスンによる「特捜部Q」シリーズは、現在6作目まで出版されています。

また、いくつか映画化もされているようです。そちらも機会があったら見てみたいと思います。

ミステリ好きにおすすめの本でした。お読みいただきありがとうございました!