いくえみ綾の漫画を原作にしたドラマ「あなたのことはそれほど」が各方面で話題になっているのが気になって第4話から見てみました。原作は未読です。
話題になっているポイント
「あなたのことはそれほど」はダブル不倫が大きな軸になっています。既婚者女性であるヒロイン・美都(みつ)は幼少時より片思いしていた有島と再会して、相手も既婚(奥さんは出産で里帰り中)でありながら不倫に突っ走ります。
ドラマでは、不倫といえども全然悪びれる様子がない美都の様子に難儀を示す人が多かったようです。
また、美都を演じる波留さんがその世間の声に呼応するかのようなブログを更新したことでも話題になりました。
昨日はあなそれ第3話でした。|波瑠オフィシャルブログ「Haru's official blog」Powered by Ameba
ぜーんぶ美都が悪いんですけどね。
後ろめたさ、罪悪感ゼロなものですから。
もちろん理解に及びませんが、仕方ないです。美都とはそういう人なのです。
と、女優として割り切っていること、ただ仕事としてやっているからには
私は頭の中お花畑にして突っ走ります。
と全力投球している波留さんの思いが綴られました。
昨夜の第4話だけを見た感想ですが、波留さんはもっとお花畑全開にして突っ走ってもいいと思います。
少女漫画ではよくある話…?
原作漫画の「あなたのことはそれほど」はわたしは未読ですが、いくえみ綾が描く漫画は以前好きでよく読んでいました。
昨日のドラマを見て思い出したのが、いくえみ綾の漫画「みつめていたい」です。
「みつめていたい」では、高校生の真千子が付き合っている人がいながらも他の人に惹かれてしまう、というストーリーです。
付き合っている相手の祥児はすごく優しい人で、真千子のことが大好き。真千子のほうから好きになって追いかける年下の高哉は天然でちょっと悪ぶっている。
女の子が二股をかける話ですが、描かれ方はとても明るく、真千子が高哉を追いかけるときはちょっと応援さえしてしまいます。
「だって好きなんだからしょうがない」というのは恋愛に重きをおく女子中高生にとっては何よりも優先されるのです。
そしてこの「みつめていたい」の主人公たちは十代ですが、大人になってそれぞれの事情をかかえる「あなたのことはそれほど」な年齢になると「好きだからしょうがない」は簡単に不倫と結びついてしまいます。
ドラマで描くのはむずかしいのだろうか
ヒットした不倫のドラマといえば、「セカンド・バージン」や「昼顔」などでしょうか。そのドラマのイメージは明るいというよりは「道ならぬ恋にどうしようもなくおぼれてしまい、落ちていく(先はない)」といった感じで描かれていました。
スポンサーリンク
一方、「あなたのことはそれほど」ではとにかく明るいです。二人は密会というよりも夜の街でわりと堂々とデートしています。会っているシーンやラインを交換するシーンではオシャレでウキウキしたBGMが流れます。
役が合っていない問題もあると思います。波留は「恋愛脳でどうしようもない天然女性」にはとても見えませんし、不倫相手の有島は存在感が薄くどうして美都がそこまで惹きつけられているのかが全く表現されていません。
演技が光っていた人達
むしろ演技が光っているのはそれぞれの結婚相手です。
狂気をおびはじめる夫
嫉妬に燃える美都の夫・涼太を演じるのは東出昌大さん。
美都が「二番目に好きな人」として結婚した涼太は、すぐ顔に出る美都の浮気に気付き、どんどん壊れていきます。
東出さんの演技って今まで見ても正直あまりピンと来なかったのですが、このドラマではものすごく光っていました。美都が好きすぎて、おかしくなっていく涼太の様子がとても面白く演じられています。
涼太は美都が大好きなので、美都の前では明るく振る舞ったり料理に腕をふるったりとかいがいしく家のことをしています。ここがまず好感度アップです。美都が「柴犬」と評するように、忠犬っぷりがとても可愛らしい。浮気相手の有島よりずっと素敵に見えるのでつい涼太サイドに寄り添って見てしまいます。そうすると悪びれることなく涼太を裏切り続ける美都がどんどん敵に見えてくるという。
地味だけど勘がよさそうな妻
有島の妻・麗華には仲里依紗さん。
仲里依紗が演じるのは、出産したばかりの麗華。服装やメイクなどは地味ですが、しっかりした女性といった感じでしょうか。第4話では夫の浮気の兆候をかすかに感じ取り、なんだかおかしいな、といった表情をしていました。光軌は美都とちゃっかり浮気をしながらも、麗華への愛情に冷めているというわけではなさそう。どちらかというと麗華のほうが夫を捨てるパターンなのでは? という感じがしました。仲里依紗が演じる女性は芯がとても強く見えるからそう感じるのかもしれません。
もっと突き抜ければいいかもしれない
それぞれの配偶者にくらべると、美都と光軌のシーンが物足りなく感じました。
美都は光軌にずっと片思いしていて、光軌のことが一番好きだったという設定なのにあまりそれが伝わってきません。道ならぬ恋におぼれている感じも、光軌と親密になれてうれしい感じもいまいち物足りないのです。
「だって好きなんだからしょうがない」の「好き」の部分をもっと描写してほしいし、嫉妬でタガがはずれていく涼太とは両極端なほどに浮かれる美都が見たいです。といっても、第4話のクライマックスでは涼太が「サプライズプレゼント」として美都に知っていることをすべて話してしまったのでこの先はそこまで浮かれる姿も見られないのかもしれません。
ドラマとしては中途半端な印象を受けましたが、東出昌大の狂気に満ちた演技見たさに次話も見るつもりです。
▼TBSオンデマンドでは1週間ほど見逃し配信もありますよ!
お読みいただきありがとうございました!